11月3日(金祝)原子力発電環境整備機構 加来謙一様 特別講演要旨
〜高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する国内外の状況〜
2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分関する法律」に基づき設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)の国と電気事業者等との関係から、原子力発電所の現状(全60基のうち廃炉24基、再稼働12基)の前提説明から始まり、下記5項目に関して詳細の講演がありました。
受講者は原子力工学科の学生、院生だけでなく応用化学科の学生等も参加していましたので、原子力の知識に乏しい方でも理解しやすくご講演頂きました。
ご講演後の質疑では学生や院生から活発な質問があり、丁寧なご回答がありました。また、工学会OBからは、地層処分に批判的なご意見に対して東京工業大学の奈良林特任教授が反論したことの説明があり、すぐに反論が必要と述べ、満場の拍手を受けていたのが印象的でした。
1.高レベル放射性廃棄物
高レベル放射性廃棄物とは、使用済燃料を再処理する際に残る廃液をガラス固化したものであり、最初は強い放射線を出すが1000年後には放射能は99.9%以上に減衰します。
2.地層処分
世界各地で様々な処分方法が検討されてきましたが「地層処分」が最適な方法であることが、国際的な共通認識になっています。NUMOではガラス固化体を4万本以上埋設できる施設を計画中です。地層処分では地下水や火山、活断層などの自然現象の影響を考慮する必要がありますが、日本の地質の特性に応じた対策を講じることにより、安全に処分することが可能です。
3.文献調査の状況
2020年11月に北海道の寿都町と神恵内村で文献調査を開始しました。国が取り纏める「文献調査段階の評価の考え方」を基に報告書の取り纏めに向けて評価を進めていきます。また、地域の皆様へ対話の場等を通じて情報提供を継続し将来のまちづく等についても議論して頂いています。
4.地層処分に関する諸外国の状況
米国、英国、スイス、ドイツ、フランス、日本ではガラス固化体、カナダ、スウェーデン、フィンランド、韓国では使用済燃料として計画している。処分場策定済はフランス、スウェーデン、フィンランド。
5.全国的な理解活動
本学にも数年前に来て頂いた、展示車両「ジオ・ラボ号」を用いた巡回説明や全国各地で行っている対話型説明会の開催、教員向けの教育WSの開催、ホームページやSNSの活用などを行っています。